金型無償保管問題

金型無償保管問題と取適法について

金型保管の商慣行は、高度経済成長期に生まれたとされています。
高度経済成長期には仕事がたくさんあり、製造工場などの協力工場(中小受託事業者)も経営が潤っていたせいか、使わない金型を返却することなくそのまま工場内に置き続ける関係が普通にありました。

しかし、1990年代以降の製造業の海外進出により、国内の協力工場は取引量が減少し経営が厳しくなりましたが、メーカー・Tier1などの金型所有企業(委託事業者)から長期間の発注が無い遊休金型をそのまま保管し続ける関係は、そのまま残り続けました。

協力工場は、「金型の返却を要請することにより、仕事も無くなってしまう」ことを恐れ、自前で倉庫を借り金型を預かったり、設備を置けるスペースに遊休金型を置いたりするなど、苦しいながらも金型の保管を負担するようになりました。
現在の協力工場の一部では、今日でも製品単価も上げることができず、金型保管の負担もあり、その結果、賃上げができなかったり、新しい設備を導入することができないことも重なっています。

一方で協力工場へ仕事を出しているごく一部の金型所有企業や取引の間に入るごく一部の商社は、見て見ぬふりをすれば新たな費用負担がかからないので、この問題を知っていても新たに話題にしないようにしているようです(複数の事業者様から実態を聞いています。)

この金型無償保管問題を規制するのが、取適法(中小受託取引適正化法)です。
取適法の適用対象取引は、取引内容と資本金基準又は従業員基準から定めています。

・ 取適法特設サイト  :公正取引委員会 
・ 取適法ガイドブック :公正取引委員会 
・ 取適法リーフレット :公正取引委員会

取適法は、委託事業者に4つの義務(①発注内容等を明示する義務、②書類等を作成・保存する義務、③支払期日を定める義務、④遅延利息を支払う義務)と11の遵守事項(①受領拒否、②支払遅延、③減額、④返品、⑤買いたたき、⑥購入・利用強制、⑦報復措置、⑧有償支給原材料等の対価の早期決済、⑨不当な経済上の利益の提供要請、⑩不当な給付内容の変更、やり直し、⑪協議に応じない一方的な代金決定)を課しています。

金型の無償保管は、この中の「不当な経済上の利益の提供要請」の禁止項目に該当します。
なお、委託事業者が「公正取引委員会、中小企業庁、事業所管省庁に違反行為を知らせたことを理由に、中小受託事業者に対して取引数量の削減・取引停止など不利益な取り扱いをすること」は、報復措置として禁止しています。

公取委(公正取引委員会)が金型(木型・治具を含む)無償保管に関係して出した勧告は、2023年度3件、2024年度9件、2025年度18件(2026年1月18日現在)に上ります。

仕事柄、成形屋とお話しする機会が多いのですが、メーカーと直で取引をされている成形屋からは「メーカーから遊休金型の廃棄や保管料の支払いをします。という連絡が来た。」という話もかなり増えてきています。
一方で、メーカーさんとの間に1社2社入る取引の場合は、旧態依然とした体質は変わっていないようです。

是非、このホームページ内の「金型の外部保管は「未来への投資」」をご覧ください。
金型を金型ロッカーなどの外部に保管することは、日本の製造業に活力を与えるきっかけになります。
日本の製造業が元気になるように、金型の外部保管を積極的に活用していってください。